新しい家族を待つ猫たち。譲渡を繰り返していくことが猫を救うことになります。
動物愛護事業の一環として行われるTNR活動。不妊・去勢手術済みのしるしとしてオス猫は右耳、メス猫は左耳の先端を三角にカットします。手術をするための全身麻酔をかけている最中に行っていて、出血もほとんどありません。またその形から「さくらねこ」とも呼ばれ、殺処分されてしまう仔猫を増やさない「しあわせな猫」の象徴です。
身勝手な飼い主が猫を捨て、繁殖し、それが殺処分の大きな母体となっています。これ以上増やさないためにもTNR活動は必要です。
不妊・去勢手術を行うTNR活動をはじめとする野良猫の保護活動にご賛同いただける方を求めています。
萩原さん毎日のように「猫を保護してほしい」という電話が「ねこかつ」に寄せられます。多い時は1日に10本くらいの電話が入るほど。しかしながら、私たちもそういった猫をすべて受け入れるのは困難です。現状でもスペース的には猫が多過ぎるくらいなんですね。受け入れられるのなら受け入れたい。でも、1匹の野良猫を受け入れると、殺処分されてしまう1匹の猫を救えない、ということになってしまうのです。ご相談をいただいた方には「T=トラップ・捕獲器で安全に野良猫を捕獲 N=ニューター・不妊、去勢手術を行い R=リターン・元の生活場所に戻してあげる」という「TNR活動」といわれる手法や、里親探しの方法をアドバイスしております。また、野良猫や捨て猫を「可哀想」と迎え入れ飼育してくださる方もいらっしゃり、それは喜ばしいことなのですが、逆に多頭飼育崩壊の事例もあり、不幸な結果を招きかねません。飼育することの責任をみなさんが感じてくれたらいいなと思います。
新しい家族を待つ猫たち。譲渡を繰り返していくことが猫を救うことになります。
梅田さん先日、さいたま市緑区で野良猫が殺される事件がありました。情報を知った私たちは「これはまずい、他の猫も殺されてしまうかもしれない」と、すぐに現地へ出向き、その近辺の猫たちを保護しました。その事件が起きる前、その地区の方から電話での相談を受けており、スタッフが不妊・去勢手術、里親探しなどのアドバイスをしておりました。相談者様がそれらを行い、猫を救おうという矢先に、この事件が起きてしまったのです。現在「ねこかつ」は専属スタッフが4名、ボランティアメンバーを含めると現在約100名以上、譲渡会のスタッフも含めれば150名近くになりますが、そのほとんどが月に1回、週に1回活動してくださる方です。私自身、さまざまな活動を昼夜問わず行うので、なかなか予定通り行動することが難しい現実もあります。ですから、まったく手が足りていない状況です。ボランティアスタッフは常に募集していますので、保護活動にご賛同いただける方は是非ご連絡ください。
萩原さん 殺処分をゼロにするために、どうしたら良いかを一般市民までが考えていけたら素晴らしいと思います。例えば、捨て猫にばったり出会ってしまっても、すぐに諦めないで、まずは里親探しをしてほしい。公民館や動物病院、スーパーなどにポスターを貼ったり、あるいは、ネットで募集したり。みなさんが思ってるよりは案外簡単にできると思います。特に仔猫は里親が見つかりやすいので、助けたいと思ったら是非行動してほしいですね。
また生体販売に関して、その裏側の事実を知らない方はまだまだたくさんいらっしゃると思います。どんな命も平等ですが、ペットショップで犬や猫を購入する前に、行き場のない子たちがたくさんいるということを思い出してくれたら嬉しく思います。
梅田さん猫の繁殖能力は非常に高く、年に2~3回、1度に平均4~5匹が産まれます。そして生後半年もすると、今度はその子が子どもを産みます。しかし、繁殖した猫たちが生きていける環境はないのです。町中に野良猫が1匹であれば「可愛いね」と言ってもらえるかもしれませんが、それが10匹になったら―?そうなると絶対に邪魔者にされるのです。たまに通る人なら「猫がたくさんいるね」というくらいで済むかもしれないけれど、そこに住んでいる人たちからすると「綺麗な花壇が糞でいっぱいになる」「車を磨いても足あとが付く」、「交通事故で死んでいるのは見たくない」と思うのです。
捨てられ、繁殖した猫たちが行政に持ち込まれる。結果、殺処分の一番の母体となっています。殺処分される犬と猫を比べると猫の数が多いですが、その中でも仔猫が圧倒的に多い。それは望まれずして町の中で生まれた仔猫たち。殺処分されてしまう可哀想な猫を減らしていくために不妊・去勢手術をしましょうというのがTNR活動なのです。
また、手術することで猫の寿命が延びます。出産というのは人間ほどではないにせよ、母体にダメージを与えるからです。また喧嘩や交尾などで病気がうつることもありますので、そういったリスクの軽減や、鳴き声、マーキング(尿)も減りますので、人間社会にとっても良いのです。TNR活動を行うことはメリットしかありません。
動物愛護事業の一環として行われるTNR活動。不妊・去勢手術済みのしるしとしてオス猫は右耳、メス猫は左耳の先端を三角にカットします。手術をするための全身麻酔をかけている最中に行っていて、出血もほとんどありません。またその形から「さくらねこ」とも呼ばれ、殺処分されてしまう仔猫を増やさない「しあわせな猫」の象徴です。
さらにTNR活動を行うことで野良猫は「自然減」します。野良猫は長く生きることができません。家で飼われている子は長ければ20年ほど生きますが、野良猫の平均寿命は3~5年くらいです。交通事故や冬に風邪を引いてしまうとそれだけで死んでしまいます。つまりすべての野良猫の手術ができれば、数年後には理論上ゼロになるのです。すぐとはいかないけれど、これ以上増えない状況を作ることはできます。殺さずに問題解決ができるのです。
「TNR活動だけでなく、せっかくだから保護してほしい」という声もいただきます。でも、私たちは資金援助があるわけではなく、保護費、手術費、施設の運営費など、すべてにお金がかかるのです。今現在すべての猫を保護することは、到底無理な話であることもご理解いただきたく思います。
身勝手な飼い主が猫を捨て、繁殖し、それが殺処分の大きな母体となっています。これ以上増やさないためにもTNR活動は必要です。