どのケーキも美味しくてオススメです!
3.お客様に愛される店づくりとは…
従業員やお客様だけでなく、同業者や地域の店舗さんなど横のつながりも大切にしています。それまでは四六時中お菓子のことを考え工房にこもっていましたが、いかに狭い世界を見ていたかを気づかされました。より広い外への視点に気づかされたきっかけは、うちに出入りしている営業さんから誘われて、何の気なしについて行った山登りでした。それまでアウトドアなんかはまったく興味がなく、当然体力も無いので死に物狂いで登り切りました。その時、同行していた同業者から「高橋さん、こんなの山じゃないから」と言われてカチンときたんですね(笑)。負けず嫌いなので。
それからというもの、ジョギングで体力作りやトレーニングをして色々な山に挑戦するようになり、気が付いたら山登りが好きになっていました。そのうち山登り以外にも興味を惹かれるようになってきて、色々なことを経験したいという思いが強まってきたのです。そこから仕事にも様々なアイディアを取り入れるようになりました。
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特に仕事に直接繋がったのが農業だと思います。今(2021年)からちょうど8年前に、地域の方々と「ところ産食プロジェクト」という仕組みを作りました。地元の農産物を地元の飲食店に流通させることが「地産地消」の目的ですが、そこには元気な所沢であって欲しいという想いがありました。地域の衰退は結局まわりまわって自分の仕事へも影響してくると考えたからです。一見直接お菓子作りに関係ないように思うかもしれませんが、その際に色々な方と知り合うことによって、様々な恩恵がありました。
例えば、突然近所の農家さんに呼ばれ、「希少なカボチャが採れたからスイーツに使ってよ」といただいたこと。そこから里芋とか抹茶とか、ほうれん草の焼き菓子を考案しました。この商品は野菜嫌いな子どもも喜んで食べると、親御さんにも大人気になり、今では所沢ブランドにも認定されています。結果論だと言ってしまえばそれまでですが、こういった横のつながりがあってこそ今のエミールがあるのだと思います。
新しい流通システムの基盤を作り上げたことによって、様々な公的機関から企画のご提案をいただきました。あくまで本業はお菓子づくりということを見失いたくなかったので、拡大はしませんでした。私がリーダーを務めた会(ところ産食プロジェクト)は今では解散していますが、今でもその流通システムは地域の方々によって、様々な形で引き継がれています。