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ところざわのくらしTOKOROZAWA LIFE豊かな自然と、多彩な都市機能

お客様との交流も忘れない店主。ネルについてご教授いただくのも良いかもしれません。

7.ネルの声を聴く、ということ。

私は、酸味の強い珈琲や、苦いだけの珈琲を美味しいとは思いません。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、自分が美味しいと思えない珈琲をお客様に提供することはできませんよね。Kieidoでは、産地、精製方法、品種にこだわり、生豆のポテンシャルを引き出す焙煎を行い、独自のハンドピックとネルドリップでの抽出によって、透明感のある味を実現しています。渋みやえぐみ、トゲトゲしさが無く、すっきりと、口当たりの良い優しい味わいが特徴。珈琲を飲めない方が、Kieidoの珈琲なら飲める、と言っていただくことも多く、私にとって最大の喜びといっても過言ではありません。

また、飲み始めから飲み終わりまでの味の変化に気づかれるお客様もいらっしゃり、お客様同士の会話で「味変わったね」といった言葉を耳にすると、本当に嬉しくなります。お店のコンセプトは「透明感があって、まろやかで優しい」こと。この味こそが、私が淹れる珈琲の特徴だといえます。

また、よくお客様から「マスターは何分で一杯の珈琲を淹れるのですか?」と訊かれるのですが、「ネルの声にまかせて、ネルのスピードで淹れます」と答えています。ネルフィルターはメンテナンスをきちっとすれば1枚で約100杯の珈琲を抽出することができます。私の場合は1杯の珈琲を淹れる度に必ず、洗い~煮沸~洗い、という工程を行っており、煮沸によってネルの目がしまっていくのです。使うネルによって抽出速度が変わるのはこのためです。抽出速度は時間とかのルールではなく、ネルの状態によって決まるんです。ですから、廃棄のタイミングは重要です。

豆の選び方では農学の知識と経験が活きています。産地の栽培条件、例えば気候風土や土壌、品種の特性などを農学の見地で理解することはもちろん、珈琲の歴史は病気との闘いでもあります。耐病性などを含め品種の特徴や品種改良の手法などを理解できるのも、農学、特に植物病理を専門とした私には強みであるといえるでしょう。

お客様との交流も忘れない店主。ネルについてご教授いただくのも良いかもしれません。

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