入間でひとと会う

ティーポットイラスト

松本 忠明さん

株式会社ハンマーヘッド楽具 代表取締役
松本 忠明さん
木工歴:1978~

鈴木 良彦さん

職人
鈴木 良彦さん
木工歴:2004~

安藤 元さん

職人
安藤 元さん
木工歴:1997~

株式会社ハンマーヘッド楽具外観

■株式会社ハンマーヘッド楽具『craft shop " POZZO " ポッツォ』

1981年に代表の松本さんが開いた“少し変わった”家具工房。幾度かの引越しを重ねながら、現在は入間のお茶畑に囲まれたお洒落な工房で、主に無垢材を素材とした特注家具、オリジナル商品、修理・リメイク、店舗什器などを製作している。工房併設のクラフトショップ“ポッツォ”は、オリジナルの家具や小物などの販売を行っているほか、ショールームとして特注家具の打ち合わせ場所にも活用している。今回は代表取締役の松本さん、職人の安藤さん、鈴木さん3名にインタビューをしてきました。

ティーポットイラスト

:ハンマーヘッド楽具が入間にくるまでの経緯

松本さん
ものづくりの原点としては、私は田舎育ちなので、当時は玩具なんてどこにも売ってなかったんですね。遊ぶ物は全部自分で作らなきゃいけない環境でした。なので自然となんでも作るようになっていったのです。特別きっかけがあった訳ではなく、私にとってものづくりは普通のことでした。

ハンマーヘッドの始まりは、私が独立したのが30歳の頃なので、41年前ですね。最初の工場は五日市でした。スタートを切った所なのでやむなく安い場所を選んだのですが、湿気が凄くて家具を作る場所には向いていなかったのです。それから8年~9年後には福生に引っ越して、湿気が少ない所を選んだのですが、今度は2階を選んでしまい失敗しました。色々物を上げたり降ろしたりするのが想像していたよりも大変でしたね。他にも色々と事情があり、今度は瑞穂町に引っ越しました。

安藤さん
僕は瑞穂町の頃にハンマーヘッド楽具に参加しました。当時松本さんのお客様としてお付き合いのあった方が僕の家の斜め向かいに住んでいて、その方が彫刻家の方だったんですね。近所付きあいの交流の中で「家具作りに興味がある」という話をしたら、「ちょうどいい会社があるんだけど行ってみない?」とハンマーヘッド楽具のご紹介を受けたんです。まだ学生でしたのでアルバイトといった形でお手伝いさせてもらっていました。それがやっていくうちにどんどんのめり込んでいって、卒業してもやらせてくださいとお願いしたんです。もともと何かを作る仕事をしたいといった気持ちは漠然とあったので、その中でも家具作りは特に自分のやりたいと感じていたことに近かったみたいです。

松本さん
瑞穂町では順調に仕事が出来たのですが、今度は大家さんの方でやむを得ない事情があり、2年ぐらいで立ち退きになってしまいました。そうして散々探してたどりついたのがここ入間だったのです。先に土地を見つけて、所有者である建設会社に話を聞きに行ったら、建物を建てて借して貰えるということが分かりました。今あるショールーム兼ショップのPOZZOは、建設会社には外観までの工事をしてもらって、内装は自分たちで行いました。真ん中に一本鉄骨があったので、それを軸に2階を作って、窓も付けて、階段やトイレも付けました。鈴木君が参加してくれたのは、入間に来てからですね。

鈴木さん
もともと学生の頃は建築設計の勉強をしていたのですが、段々と手を動かして作る仕事の方に惹かれていったんです。学校の先生に内装の設計をされている方がいて、その方がハンマーヘット楽具と仕事上の付き合いがあったので、「いい木工房があるよ」とご紹介いただいて卒業と同時に入社しました。

クラフトショップ“ポッツォ”1階部分

クラフトショップ“ポッツォ”1階部分

クラフトショップ“ポッツォ”2階部分

クラフトショップ“ポッツォ”2階部分

:ハンマーヘッド楽具の仕事(住宅用特注家具について)

鈴木さん
基本的に特注製作なので、「こういうのを作ってます」という物が説明しづらいですね。お客様が求めているものをその時その時で作ります。とにかく木を素材とした物であればなんでも作ります。主にテーブル、椅子、ソファ、食器棚、書棚、靴箱などの一般的な家具。変わったものだと暖炉のカバーや、レコード収納、キャットタワーなどもご注文いただいたことがあります。本当に様々ですね。

安藤さん
やはり僕らはみんな木が好きだったり、自然素材を使ったナチュラルなテイストが好きなので、なるべく無垢材の良さが伝わる物を届けたいという想いを大切にしています。直接お会いしてお話が出来るお客様には、イメージしやすいようショールームでは家具や小物などの製作物を展示しています。

お客様のなかには住協さんで住宅を購入された方もいらっしゃいます。10年ほど住まわれてリフォームを行った際、お客様のお好みに合うダイニングセットを収めさせて頂いたり、収納家具や室内ドアを作らさせて頂いたこともあります。

:無垢材と加工材の違いについて

安藤さん
木でいうと、ベニヤとか合板とか、そういうのが人工的な素材です。実物を見るとやっぱり無垢材との違いは大きいです。住宅でもそうだと思うのですが、目に見える木目の物でも本物の木ではない物というのは世の中に凄くたくさんあります。木目のプリントもあります。パっと見ただけでは分かりづらいのですが、やっぱり使ってみると全然違います。出来るだけ本物を届けたい、使ってもらいたいといったこだわりがありますね。

自然素材を使った小物
特注家具

ショールームは、自然素材を使った小物や特注家具の並べられている憩いの空間です。

オリジナル商品
特注家具

本当に様々なオリジナル商品や、特注家具が展示されています。

ティーポットイラスト

:家具のリメイクについて

松本さん
リメイクを本格的に始めたのは13~14年前ぐらいですね。最近はSDGsという言葉も出てきてリメイクに脚光が当たっています。リメイクと言われてもピンと来ないという方もいるかもしれませんが、「直す」とか「元の状態より良くする」とかではなく、「別の物に作り変える」ことです。もちろん大きさを調整するといったこともありますが、まったく別の物に作り変えることの方が多いです。頂いた物を材料だと考え、一度バラバラにし、再利用できる素材を最大限活かしつつ、違う用途の家具へ作り変えます。

安藤さん
最近注文をお受けすることが多いのは、婚礼家具のリメイクですね。お客様のお引っ越しやリフォームのタイミングでご依頼頂くことが多いです。今時の住宅はクローゼットがあるので、収納棚を置くように作られていなかったりもします。それでもやっぱり、昔から使っている思い出の物だったり、ご両親から贈られたプレゼントだったりすると簡単に捨てられませんよね。そういう時に、何か形を変えてでも残したいという方がたくさんいらっしゃいます。そういった物を、例えば箪笥を本棚に変えたり、リビングにも使える小さめの収納に変えたり、テレビ台に変えたり、需要に合わせて作り変えるのです。

松本さん
婚礼家具を買う方も段々少なくなってきていますからね。それ以外の物、例えば使わなくなったテーブルや勉強机なんかも作り変えます。

鈴木さん
仕事の内容としては特注製作と同じですね。お客様のご要望をもとに設計し、作り変えます。ただ基本的には、元のデザインを尊重しています。リメイクしてまで使い続けたいということはその家具に思い入れが深いということなので、その家具の意匠的な特徴であったり、そういった特性はなるべく引き継いだ形で違う用途の物へ作り変えます。

松本さん
ご両親がお亡くなりになられて、家の物を整理するとなった時に、全部捨てるのではなく何か残したいという方も多いと思います。そういった物を再利用していく取り組みというのは社会的にも意義のあることだと思っています。

鈴木さん
僕たちがリメイクを始めた頃はSDGsという言葉は無かったですし、実はスタートはお客様からそういったご相談を頂いたところからなんですよ。ホームページで家具のリメイクのアナウンスを始めたら、徐々にお問い合わせをいただけるようになりました。今はほとんどオンラインでお問い合わせをいただき、遠方のお客様の場合は一度もお会いすることなく仕事を終えることも多いです。何度かメールのやり取りを行っていく中で、お客様が本当に欲しい物を模索していきます。

松本さん
「これが欲しい!」という物はなく、漠然と「何かにしたい」といった形でご依頼いただくこともあります 。

鈴木さん
もちろん、「こういう用途でこういうサイズ感で」と細かく伝えてくださる方もいますが、「何かにしたい」というお客様には、スケッチや図面を描いて提示しながら、慎重にイメージを掘り下げながら完成させていきます。イメージを間違えてアクシデントになってしまったことは今の所一度もないですね。ありがたいことにご満足いただいています。

松本さん
所ジョージさんの『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ』という番組企画の中で、家具のリメイクをやらせていただいたことがあるのですが、特に難しかったですね。結婚を控えた娘さんの為に、彼女が使っていた勉強机を何かに作り変えたいというご両親からのリメイク依頼です。サプライズの企画なので、使う本人のご要望を聞くことができないんですよ。どういう物がいいのか、模索する手段がありませんので、とにかくひたすら考えました。

スツール

【リメイク事例①】パイン材のチェストを素材に製作したスツール。天板、前板など無垢部材を材料に、高さ違いの丸座スツール2脚と、板材を合わせた構造の本入れスツール1脚に生まれ変わった。

リビングボード

【リメイク事例②】どっしり重厚感のある婚礼箪笥をリビングボードへリメイク。正面の装飾的な彫刻が特徴的ではあったが、スッキリとした家具を希望されたためあえて落としたとのこと。

修理・リメイク事例をみる

ティーポットイラスト

:デザインのこだわりについて

鈴木さん
ショールームに展示している物は、誰か一人がデザインした物ではなく、みんながそれぞれ考案し作って展示しているのですが、やっぱり作り手の好みは表れますね。

松本さん
例えばテーブルで言うと、鈴木君は斜め足が好きとか(笑)

鈴木さん
そうですね(笑)。ゴツい物よりはラインのシャープな物が好きだったりはします。レトロな雰囲気の物も好きです。ただ特注家具の場合は、自分の好みではなくお客様がどういったテイストを求めているか、どのような形が使い易いか、というのを重視して製作しています。それでもやっぱり設計する人によって形は変わってきますけど、みんな「お客様に満足して貰える物」を一番に考えています。

松本さん
スケッチや図面を提示してお客様にOKを頂いてから作るので、明確なイメージを持っている方にも、そうでない方にもご満足いただけるものを作ることが出来ます。でも、たぶん一番良いのはやっぱりシンプルに仕上げられた物だと個人的には思いますね。

鈴木さん
自社製品の場合も、全体のテイスト的には基本シンプルな形だと思いますよ。コーディネートの幅が広がるということもありますし、やっぱりスタンダードな物が飽きずにずっと使えるのかなという印象はあります。

鈴木さん 作テーブル

鈴木さん 作

松本さん 作テーブル

松本さん 作

安藤さん 作テーブル

安藤さん 作

:法人の製作受注について

鈴木さん
個人の住宅用家具以外にも、法人の製作受注を多く頂いています。工務店さんや設計屋さん、その他にもデザイナーやアーティストの方であったり、造形屋さんであったり。色々な職種の方から製品製作のご依頼をいただいています。また、住宅用には無垢材の物をオススメしていますが、法人の場合、基本的には設計図をもとに作りますので、指定された素材・仕様で製作します。

松本さん
例を挙げるときりがないのですが、お店の家具、カウンターや道具、ディスプレイ什器など。アートワークだと近年は病院に設置する装飾的なオブジェなんかも多いですね。

個人邸建具

  • category:個人邸建具
  • client:株式会社 住協
  • design:安藤 元(HHR)
  • place:埼玉県

個人邸家具

  • category:個人邸家具
  • client:株式会社 住協
  • design:安藤 元(HHR)
  • place:埼玉県

店舗什器

  • category:店舗什器
  • client:工務店さま
  • place:デパート(東京)

:入間市の魅力を教えてください

松本さん
私たちはここで仕事しておりますので、入間の景色、茶畑の一面に広がる景色は良いなあと思ってよく眺めています。富士山も見えますし、最高のロケーションですね。テレビや映画でここの茶畑が出てきますと「あー使ってるな」とすぐに分かりますね。空が広いっていうのかな、のびのびと過ごせて好きです。子育てには良い場所だと思います。昔は道路がもっとガタガタしていましたが、今はもう整っています。ここからは少し離れていますが、ユナイテッドシネマやジョンソンタウンにもよく行きましたね。

鈴木さん
季節の変化など自然を感じられる環境です。この場所は特にですが、立地的に高速のインターが近いので、アクセスも便利だと思います。圏央道が繋がったので色々な所に行きやすくなりましたね。

工房の様子
工房の様子
工房の様子

工房の様子も見学させていただきました。近々動画も公開予定!お楽しみに!

入間市のオススメ物件ご紹介!

会員登録で、未公開物件が見つかる。
理想の物件と出会えるチャンス!

入間でお住まいをお探しの方はこちら→